「どうしたんですかルーク」 宿屋の部屋のベッドに腰掛け、溜め息をつくルークにジェイドが声をかけた。 短い時間ジェイドをの顔を眺めた後、ルークは困った顔で最近の悩みを打ち明ける。 「あのさぁ」 「はいはい、アッシュがどうかしたんですか」 なぜわかる、と目を瞠ると、あなたの悩みなんてそれ以外にないですよと断定されてしまった。 間違っていないので反論は出来ず、少し顔を赤くしながら続きを話す。 「……最近なんかこう、やたらと触られるっつーか、服の下に手が入るというか」 「嫌なんですか?」 「じゃなくて、なんか、その、そうされると混乱して訳がわかんなくなってさ。嫌じゃない、嫌じゃないんだけど……」 「待ってくれと」 「そう!」 流石ジェイドよくわかってくれる、と膝をぱしりと叩き、悩みという名のノロケを語りだす。 近頃キスの最中、ふと気付けばアッシュの手がもぞもぞと動いている。そうされて悪い気はしないのだが、なぜだかどうしても体が強張り、いつもアッシュの手を掴んで止めてしまう。 アッシュは不満そうな顔をするが、こちらの必死さが顔ににじみ出ているのか、それ以上のことはなく手を引いてくれる。 怒ることはないのでルークもほっと息をつくが、問題はその後の空気だ。 アッシュは気にするなと言ってくれるが、内心ではおもしろくないだろう。罪悪感がひどくて勝手ながら落ち込んでしまう。 アッシュが最終的には何をしたいのかははっきりとはわからない。わからないが、きっとあまり止めてはいけないものなのだろうというのは雰囲気でわかる。 「つまりアッシュに嫌な思いをさせないような、後腐れない理由を考えればいいんですね」 簡単です、とジェイドは綺麗に微笑んだ。 「世間にはそういう場面でわだかまりもなく納得できる、便利な言葉があるんですよ」 後日。 アッシュとの逢瀬中、来るかと予感していたそれが案の定来て、アッシュの手がわき腹に滑ったと同時にルークは身を固くした。 しばらく耐えていたが、やはり無理そうだとわさわさと動くアッシュの手を叩いて顔を上げさせる。 今回も駄目か、というアッシュの顔に胸が締め付けられたが、今はまだ戸惑いの方が勝った。 押し倒されたままの状態で顔を背け、いつになく優しい手つきで髪を梳いてくるアッシュに顔を赤く染めながら、意を決してあの日のジェイドの言葉をなぞる。 「アッシュあのさ」 「……覚悟はしている。言ってみろ」 「あの、あのっ、実は俺―――」 「今は危険日なんだ!」 コメントできない。 |